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新・動物の「食」に学ぶ

2011年01月15日 07:00

西田利貞, 新・動物の「食」に学ぶ, 京都大学学術出版会, 2008.

 

著者の西田利貞氏は財団法人日本モンキーセンター所長。理学博士。チンパンジーの行動学的・社会学的研究に従事するほか、ニホンザル、ピグミーチンパンジー、アカコロブス、焼畑農耕民の研究も手がけてきたチンパンジー学者だそうな。難解な専門用語も多く登場する本書だが、地の文に混ぜてさらりと解説してしまえる達者な文章のおかげで、サルにも読めるんじゃないかと思うぐらいさくさくページが進む。葉食、果実食、昆虫食、魚食、糞食‥‥など、多伎にわたる様々な霊長類の「食」を通して、我々自身の「食」について考えさせられるだけでなく、デグーの「食」をどう捉えていけばよいかのヒントを与えてくれる。

デグー飼いの私が特に興味深く感じたのは、「味覚の不思議―なぜ甘いものに惹かれるか」の章だ(p.51-74)。「どの程度の濃度で甘味を感じるかは、動物によって異なる。味を感じる最低の量を味覚の閾値と呼ぶ」(p.65)。味覚の閾値が高い=味が濃くならないとわからない、低い=薄い味にも敏感という意味だ。

 閾値については、いくつか一般則がある。一つは葉食者のほうが果食者より閾値が低いことである。ふだんは葉という甘味のない食物をとっている葉食者にとって、低濃度でも甘く感じる能力は、おおいに利益のあることなのだろう。
 第二に、体重の大きいほうが、閾値は低い、つまり、甘さに敏感なことである。その理由はよくわからないが、体の大きい動物は葉食者であることが多いからかもしれない。しかし、例外もある。小型だが閾値の低い霊長類がいる。南アメリカのリスザルである。リスザルは、二五〇ヘクタールもの行動圏を持ち、高いエネルギーを消費する。甘さに敏感でないと、活動が充分できないのだろう。一方、東南アジアのスローロリスは、体が小さいといっても、べらぼうに閾値が高い。スローロリスの採食の習性は特殊化しており、たいていの霊長類が食べられない刺激性の昆虫を食べる。そのため、甘味に頼らなくても充分に栄養を満たせるのだろう。 (p.66.)

デグーのように乾き物ばかりを食べる動物を葉食者と捉えていいかはわかりかねるが、果食者ではなさそうだ。小型で南アメリカに棲む動物といえばデグー! 粗食と言われるデグーも、リスザルのように甘味の閾値が低いような気がしてたまらない。もしそうだとすると、飼い主であるヒトには全く、もしくはほのかな甘味しか感じられないような野菜やペレットなどに、デグーたちが大喜びすることに説明がつくではないか!

いやいや、動物の一種一種を丹念に比較研究した本書を手にして、ド素人が勝手な推論を進めるのは余りに乱暴すぎる。それでもページを繰りながら、「サルがこうならデグーはどうかな?」と手を止めて考えてみることは、一概に無駄とも言い切れないだろう。デグーはさておくとしても、動物の食についての基本的な知識、ちょっとした雑学などをあれこれと得られるのもありがたい。「同じ人間同士でも、味覚の閾値には大きな違い」があって、性差や地域差、もちろん個人差も見られるという。甘味だけではなく、塩味なども女性より男性の方が鈍感らしいので、ヘルシー薄味料理にどぼどぼ醤油をかけられても怒らないようにしよう。

このエントリは過去に「痩せの大喰い」でちらっと紹介した本書を、もっとがっつり紹介しようと思って書き直してみたものなのだが、既に話がそれてしまった。版元の京都大学出版会に目次などが掲載されてるので(→ 新・動物の「食」に学ぶ)、そっちを見た方が面白そうに見える気がする。すんません┏○


※旧・「動物の『食』に学ぶ」(女子栄養大学出版部, 2001)は売り切れ。新版で加筆された第6~8章はヒトの話が主なため、「動物」に重きを置くなら旧版でも充分と思われる。コンパクトな割にちょっと高いので(1,890円)、図書館で探してみてもいいかも知れない。参考文献も充実している。
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